シャムウーン(
拝火教徒)が言った。「私は3つのことで
イスラームを受け入れないでいるのです。一つは、あなた方イスラーム教徒は
現世というものを非難していながら、夜に昼に、俗世を求めています。二つ目は、死は真実そのものであると説きながら死に向う手立を講じようとはしません。三つ目に、
神の顔は見ることができるとしながら、今日、あなた方は神の望みに反したことばかりしております」
ハサンが言った。
「今言ったことは、イスラームの神を識る者たちの徴に他なりません。では、もし神を信じる者たちがこう語るなら、あなたはどう言うつもりなのでしょうか。“あなたは70年間、火を崇拝し、私は、火を崇拝したことはありません。しかし、地獄の劫火は、われわれを二人とも焼き尽くすのです。” 。。。」
。。。ハサンは手を火の中に入れ、。。。、ハサンの肉体はかけらたりとも変容することはなく、燃えることもなかった。
「黒衣のお方よ。彼らを海から救ったように、私を妄想の大海から救い出されよ」
黒衣の男が「汝の目に光あれ」と言うと、ハサンは、その後、二度と自分のことを
他人より上だとは思わなくなったという。
(「イスラーム神秘主義 聖者列伝」 ファリード・ゥッディーン・ムハンマド・アッタール著 藤井守男訳 国書刊行会 より)