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「中東にて」 菊池絵美 in the Middle East  by  Emi Kikuchi

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2007年 08月 19日

human 人間


人間の吐息ひとつにもその魂ほどの価値があり、
抜け落ちた髪一筋にも秘められた財宝がある。

(「ディワーン・カビール=ディーヴァーヌ・ケビール」-「ルバーイーヤート=四行詩集」- マウラーナ著 -「神秘と詩の思想家メヴラーナ」より-)

人間は巨大な書物であって、一切のことがそこに書き込まれている(人間を小宇宙と見る)。だが、幾重にも垂れ幕が掛かり、暗闇が層をなして蔽っているために、せっかく自分の中にある知識を読むことができない。ここで垂幕とか暗闇というのは、俗世の様々な関わり、様々な計画、様々な欲望のことだ。・・・とすれば、この暗闇と垂幕がさっと取り除かれたなら、どんなにすっきりと一切が分り、どんなに多くのことが知られることか・・・。

(「フィーヒ・マー・フィーヒ」 マウラーナ著 -「ルーミー語録」より-)

衣装では決してその本質を知ることはできない。
見よ、人間のなんと卑小な姿をしていることか。
丸太をくりぬいたパン  の桶に、
すっぽりと収まってしまうほどの大きさしか持たぬこの人間。
このちっぽけで哀しき存在に対し、
「高貴なものにした」と神が告げたのだ。
空よ、そなたもまたそれを聞いていたはずだ。

(「マスナウィー=メスネヴィー」 マウラーナ著 -「神秘と詩の思想家メヴラーナ」より-)

時には天使ですら我らの無垢をうらやみ、
時には悪魔ですら我らの蛮勇を恐れて逃げ出す。
泥土で練られた我らの肉体、
だがその裡側には神の信託が込められている。
が我らの知恵と力とを保護し給いますように。

探求者よ、能う限りの力を持って必ずそれを見つけ出せ
外ではない、あなた自身の中にあなたの探すものがある。

(「ディワーン・カビール=ディーヴァーヌ・ケビール」-「ルバーイーヤート=四行詩集」- マウラーナ著 -「神秘と詩の思想家メヴラーナ」より-)

天使は決して大地へと踏み入ることはできない。
同じように、獣は海原を知ることもないだろう。
あなた方は獣の肉体をその宿とする、精神の天使。

(「マスナウィー=メスネヴィー」 マウラーナ著 -「神秘と詩の思想家メヴラーナ」より-)

「汝らいずこに顔を向けようとも、必ずそこに神のお顔がある」(クルアーン2章15)
この「御顔」は全世界を貫流し四方八方に流通し、どこまでも伸びてはてもなく、永遠に存続する。恋する人々(神を恋い慕う人々、すなわち神秘主義の修行者たち=スーフィー)はこの「御顔」にこそ己が身を犠牲にささげ、それに対して何の報酬も求めはせぬ。その他の人間は家畜同然だ。

(「フィーヒ・マー・フィーヒ」 マウラーナ著 -「ルーミー語録」より-)

人間の内部には実にいろいろなものがいる。鼠がいる、鳥がいる。鳥は籠を天井に向って運び上げようとし、逆に鼠はそれを地に引きおろそうとする。いや、何十万という野獣が人間の中に棲んでいる。但し、そのけものたちはみな一つの場所のほうに少しずつ進行している。鼠は鼠の本性を捨て鳥は鳥の本性を棄てて、全てが一つとなるあの場所に向かって。けものたちが(無意識に)目指していく先は、実は上でもなければ下でもないのだ。目指すところが現れれば、上でもなければ下でもないことが分かるのだ。

(同著)

人間は誰もの奥処に子を孕んでいる。・・・だが神は人間をいつまでも横暴と無知の状態に放置はされぬ。・・・死んでから後ですら、実に様々のものがそこから生れてくるのだ。
だから心の奥処を大切に育てなければいけない。心の奥処なるものは譬えば木の根のようなもので、・・・その動きは枝の端にまで現れる。枝が一本や二本折れても、根さえしっかりしていればまだ生えてくる。だが、一たん根がやられてしまえば、もう枝も葉もない。

(同著)

人には、自分の意志に関係なしに、日に五度か六度は必ず、自分では望んでいないような辛いことが起こる。どう見てもそれは自分から起こってくるものではない。誰か他者から起ってくるものだ。人はそのような他人の支配のまま。他者が自分を監視している。何か悪いことをすると、その後で後悔の念が起るのが何よりの証拠。・・・人は、・・・自分が誰かに支配されているとは認めたがらないものだ。
「神はアダムを己が姿に似せて創り給うた」(ハディース
・・・不慮の出来事の方はすぐきれいに忘れてしまう。しかし忘れても無駄だ。この借り物の性質が本当に自分のものになってしまうまでは、何遍でも殴られ殴られてゆくほかはない。

(同著)

by Emi_Kikuchi_jp | 2007-08-19 11:40 |   human 人間


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